お知らせ
2023/10/18
【10月5日開催オークション】 オークションレポート
10月5日（木）、今年4回目となる近現代アートオークションを執り行いました。
総落札額は約2億6千万円（落札手数料含まず、以下同様）を超え、近年の当社セールの中で最も良い成績を残しました。
Sale 231005 カタログ
10月オークション 高額落札TOP5
国内作家作品
今回はカタログカバーの両面を飾った2点が大いに会場を沸かせました。Lot 088: 草間彌生による0号のユニーク作品は白熱した競りの末 6500万円で決着、Lot 099: 具体第2世代の代表格、松谷武判による大型作品は下値3倍の2100万円で落札されました。当社では草間彌生の作品を通算800ロット以上取り扱ってきた履歴があります。今回出品となった黒地に黄色の網目・水玉をあしらったかぼちゃの作品は、作家のかぼちゃへの深い興味と無限の網への思い入れが最もよく現わされたシリーズの一つとして特に価値が高く、歴代最高額となっています。
Lot 099 松谷武判 「作品 '65-1」
その他、国内作家による優作が多数出品され好調な結果を残しており、中にはもの派を代表する関根伸夫や李禹煥といった作家が名を連ねています。
関根伸夫による40号のミックストメディア作品は下値の3倍近くで落札。本作は位相絵画以降の晩年、2015年に制作された、視覚と空間認識の理論を具現化した作品です。
国内作家作品 注目結果
アンディ・ウォーホル
ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルの作品は近年高額の取引が目立ちます。本セールには希少価値の高い版画9点がエントリー。シルバーインクを使用した「Marilyn Monroe」、ダイヤモンドダストを版に乗せた「Grapes D.D.版」、手彩色を施し全てのエディションが異なる「Flowers (Hand-colored)」など創意に富んだ版画が競りにかけられました。国内外の参加者による緊張感のある競りが続き、多くがエスティメートの上値近くまたは上値を超えて落札される結果となりました。
Lot 008 アンディ・ウォーホル 「Marilyn Monroe」
ヨーロッパ絵画・版画
Lot 128アンリ・マティスによるデッサンは下値の2.1倍まで競りが展開しました。桃はマティスの室内画や静物画にもしばしば現れるモチーフで、本作は挿画本用の習作として制作された1点となります。紙の両面に僅かに異なる線描でドローイングがなされており、画家の造形的研究の跡が見て取れる作品です。
Lot 128 アンリ・マティス 「桃の葉」 紙・鉛筆
エスティメート：1,000,000 – 1,500,000 JPY
落札価格：2,100,000 JPY
戦後に活躍したギリシャの画家ミタラスは、日本でこそ知名度は高くないものの、ベネツィアビエンナーレにも出品し欧米のオークションハウスでは大型作品が数百万円で取引されている例も見られる画家です。作品公開と同時にギリシャ含め海外から大きな反響があり、開始前から最も盛り上がりを見せたロットの一つだと言えるでしょう。こうした、珍しさと局地的な需要を兼ね備えた作品の出品はオークションに新鮮な驚きを与えます。オンラインからのビッドが集中し、下値の4倍以上と高い伸び率で落札されました。
エスティメート：100,000 – 150,000 JPY
落札価格：420,000 JPY
後半で注目を集めたその他のロットはこちら。
円相場も影響してか、海外からのビッドに積極的な姿勢を感じます。
コンテンポラリー作品
すでに評価が確立されたアーティストの作品の他、現代作家作品もについても好調な競りを見せたものがあります。
エヴァ・ユシュケヴィッチは当社初出品ながらも、版画が下値の2倍で落札。女性の顔が植物や髪の装飾で覆われているのは、男性の影となり個性が消された伝統的な女性肖像画への対抗の意図があるそうです。
アーカイバルピグメントプリント
エスティメート：400,000 – 600,000 JPY
落札価格：800,000 JPY
同じく初出品の松山しげきも上値を超える結果となっています。今回出品のLot 043は、実在する人物からトレースしたという目のパーツとダズル迷彩が印象的な「現代人」のポートレート。ユシュケヴィッチ・松山双方の作品はイメージを再構築しようという意思が感じられ、社会への問題提起を含む2作にビッドという形で強い支持が集まりました。
Lot 043 松山 しげき 「Portrait of dazzle #110」 キャンバス・アクリル
エスティメート：400,000 – 600,000 JPY
落札価格：620,000 JPY
以上、エスティメート値を超えて落札された作品を紹介いたしましたが、当社による評価額の設定は作品の市場価値や状態、その他付加価値を踏まえ厳正になされており、エスティメート圏内の落札であっても好結果であることは少なくありません。
次回開催は12月中旬を予定、すでに様々なジャンルの作品について出品のご依頼を賜っております。お持ちの作品につきまして、査定や出品のご相談等ありましたらぜひお気軽にお問合せください。
■次回オークション（予定）
開催日程：2023年12月中旬 2セール同日開催
出品締切：11月2日（会場型オークション）
無料作品査定：査定・売却申込フォーム、LINEまたはメールにて受付中